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総合デザイン学科卒業制作展2023を開催しました!

開催概要

期間: 2月20日(月)から4月7(金)

会場: 本学天久保キャンパス 食堂(8:50-17:50)およびオンライン展示

過去2年間はコロナ禍のためオンラインのみの展示でしたが、今年度はリニューアルした天久保キャンパス食堂にて感染予防に努めながら作品の実物およびパネルの展示を実施しました。並行して開催したオンライン展示では一部著作権等に配慮した限定的な公開となりました。

 

展示作品と見どころ

卒業研究(デザイン学特別研究)は大学4年間で学んだ様々なデザインの集大成とも言え、聴覚障害を持つ当事者として自身の障害に向き合った研究やユニバーサルデザインに関わる研究も多く見られます。

また、社会へ向けて聴覚障害についての理解を促す作品や共生社会へ向けた新たな提案など少人数ながら多岐にわたるのも特徴です。

今年度は旧カリキュラムの節目の年となり、食堂の周辺を広く使いボリュームのある展示となりました。

 

環境デザインコース(旧カリキュラム)

「音楽高校で空白を埋める~秋保温泉街の音楽高校による地域創生のための提案~」

「まちをつくる~ソーシャルインクルージョンを目指したサービス付き高齢者向け住宅~」

「コミュニティを育むコワーキングスペースのある住環境の提案」

「日常利用としてのシェアサイクルの認識と利用実態~つくば市を主な事例として~」

 

製品デザインコース(旧カリキュラム)

「和のあかりに関する調査と現代の和室等に適した照明器具のデザイン提案」

「一人暮らしの学生に適した機能性を備えた机&椅子の研究」

「聴覚障害者への防災支援を目的とした緊急情報への『気づき』を支援する機器のデザイン」

「福島県の伝統工芸品である会津張子を応用した日用品のデザイン」

「親子で指文字を学ぶための知育玩具に関する研究~指文字の学習成果を高めるための玩具デザイン~」

 

視覚伝達デザインコース(旧カリキュラム)

「国産二眼レフカメラ群の調査、修復に関する研究」

「手話イラストにおける最適な動作表現の研究とマニュアル制作」

「聴覚障害者が音楽を楽しむためのガイドブック制作」

「アルバイト先で使える聴覚障害の説明書」

「各文化圏の神話の調査及び若者に向けた解説本のデザイン」

「VOCALOID にユーザとして楽しめるための字幕の表現」

「学生向けCUDマニュアルの制作研究」

「本学卒業生の障害認識及び特性把握と聴者との関係性に関する研究」

 

受賞作品のご紹介

総合デザイン学科ではその年の卒業研究に対して、教員の投票によって最優秀賞と優秀賞を選出していますのでご紹介します。

 

最優秀賞

「本学卒業生の障害認識及び特性把握と聴者との関係性に関する研究」

本学の卒業生を対象として、23人にインタビューを実施し、聴覚障害の受容特性と働き方や聴者の人との関わりを体験談としてまとめています。

先輩一人一人を訪ねてインタビューを行ったことに加え、多数のオリジナルイラストレーションを描き、わかりやすく魅力的なデザインに至るまで大変な熱量によって高い完成度の書籍を作成しました。聴覚障害者としての葛藤、職場でのコミュニケーション上の困難や悩み、配慮方法の現状など、これから就職活動に向かう聴覚障害者にとって有益なだけでなく、本学や社会にとっても貴重な情報を美しくまとめたことは高く評価されました。

 

優秀賞

「親子で指文字を学ぶための知育玩具に関する研究~指文字の学習成果を高めるための玩具デザイン~」

聴覚障害のあるなしにかかわらず、親子で指文字を楽しく覚えながら身近な食べ物や動物の名前を学べるように工夫されています。指文字型のこまをつまみ取ることで指先を使う、指文字の形を想像することで立体空間のイメージを頭に浮かべるなど、知育効果を促すよう意識した作品です。 指文字をモチーフに選んだことや多様性への配慮など、既存の知育玩具とは異なるアプローチによる社会性のある製品の提案と、柔らかく暖かみのある造形やデザインに評価が集まりました。

 

優秀賞

「一人暮らしの学生に適した機能性を備えた机&椅子の研究」

学生のライフスタイルに合わせて高さを調整可能な机と椅子のセットを制作しました。1セットでローテーブルと座椅子、一般的な学習机の高さの机椅子、その中間の高さまで対応します。木材の加工のみならず、金属の加工、溶接といった技術力も高く評価されました。

 

ピックアップ作品

「音楽高校で空白を埋める~秋保温泉街の音楽高校による地域創生のための提案~」

制作者の出身市にある宮城県秋保温泉を舞台として、観光客や人口の減少への再起を図るべく、音楽高校によって若者と音楽による魅力のある街となるよう校舎を設計しました。地域と密着しながら賑わいのある街づくりのために、現在の状況の分析から研究の計画を立案し、建築物の計画・設計に加え3mに及ぶモデルを制作した姿勢が評価されました。

 

優秀作品のチャレンジアートへの参加報告

2023年3月7日(火)~3月12日(日)の間、茨城県つくば美術館で開催された「チャレンジアート*」へ本卒業制作展と並行して、選抜した作品が展示されました。

上記受賞作品の他、『福島県の伝統工芸品である会津張子を応用した日用品のデザイン』は、地元である福島県会津地方の郷土玩具「赤べこ」の売上向上に繋がるような、今までにない日用品の提案として「赤べこ」の可愛らしさを生かしたデザイン作品です。

『学生向けCUDマニュアルの制作研究』は、本学でデザインを学ぶ学生を対象とした参考書で、カラーユニバーサルデザインの考え方や手法、色弱者、色弱者を取り巻く社会について解説しています。読むとすぐに実践できるようになっています。

『聴覚障害者が音楽を楽しむためのガイドブック制作』は、聴こえない人にとっての音楽との関わり方や配慮の状況、音楽の効果などについて親しみやすい形で広めるために4コマ漫画で制作した作品です。

 

期間中本展示およびオンライン展示へご来場いただきました皆様にはこの場を借りて感謝申し上げます。おかげさまで反響やお問合せをいただき、盛況の内本展示会の開催は4月7日(金)に終了を迎えることができました。

2024年2月に実施を予定している今年度の卒業制作展は新カリキュラムの最初の卒業年となり、クリエイティブデザインコースと支援技術学コースの卒業制作展が開催されます。こちらもどうぞご期待ください!

*一部本学HPのトピックス記事「総合デザイン学科卒業制作優秀作品をつくば美術館で展示中!」より抜粋

 

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