ブラインドサッカーとは
ブラインドサッカーは、フットサルをもとにルールが考案された視覚障害者のためのスポーツです。アイマスクを着用した4人のフィールドプレーヤー(FP)と、晴眼者もしくは弱視者が務めるゴールキーパー(GK)の1人が1チームとなり、音の出るボールを用いて行います。さらに相手チームのゴール裏にガイド(コーラー)、自陣サイドフェンス外側に監督が配置され、声で選手に向けて情報共有を行っており、選手らはその声を頼りにプレーをすることもブラインドサッカーの特徴です。
なお、「ブラインドサッカー」という名称は、このスポーツの国内での普及を目指し日本ブラインドサッカー協会が名付けたもので、パラリンピックでは「5人制サッカー」という競技名で行われています。
※参考:日本ブラインドサッカー協会ホームページ
https://www.b-soccer.jp/
川村怜(5人制サッカー日本代表)
ブラインドサッカーをはじめたきっかけ
筑波技術大学を拠点に活動していたブラインドサッカークラブの「Avanzareつくば」があり、先輩方のプレーを観て衝撃を受けたことと、チームの雰囲気が楽しそうで入ったことがきっかけです。元々サッカーが好きで小学生の頃にサッカーをしていましたが、視覚障害の影響もあり途中で諦め、サッカーから離れていました。ブラインドサッカーと出会い、もう一度サッカーをプレーできる、挑戦できるという思いで始めました。
本学での経験(学んだこと)で現在生かされていること
私は鍼灸学専攻を卒業しており、解剖学・生理学等により身体の仕組みや構造、その働きを勉強したことによって、身体を使うトレーニングに対する理解度が上がりました。さらに、身体のコンディショニングでは、自分の身体状態の把握ができたり、セルフケアをする際に専門的な知識を活かすことができています。
また、鍼灸あん摩マッサージの資格を持っていることにより、自分自身に鍼などの施術を行うことができ、筋緊張の緩和や自律神経を整える目的で、自分自身への治療を行うことができています。
パラリンピックへの抱負
今まで関わってくださった多くの方々のサポートがあって、このパラリンピックという大舞台に挑むことができます。特に妻には、栄養面をはじめ日常の生活において多くのサポートをしてもらっており、感謝しています。
これまで取り組んできた成果を発揮して、皆様に日本の勝利を届けられるように身体を張って全力を尽くして戦います。
在学生へのメッセージ
私は在学中からブラインドサッカーを通して、学内者はもちろんですが、卒業生や学外の方、健常者と交流ができ、学業以外のことからも多くの刺激が得られました。特に卒業生をはじめとした社会人の方から話を聞くことにより、卒業後のことを在学中からイメージできたことは良かったです。
学業においては専門的な知識を深めるために、在学中から隣りの筑波大学のスポーツ医学の勉強会に参加したり、専門的な学会などに出席して学びを深めていました。学内で交流を深めることももちろん大事ですが、外部のコミュニティ、学会など、大学以外の場でも学ぶ場を広げていくことによって、より人としても成長できたので、ぜひ積極的に行動して色々な世界を見てほしいと思います。
佐々木ロベルト泉(5人制サッカー日本代表)
ブラインドサッカーをはじめたきっかけ
交通事故で失明して、事故後、体のコンディションを元に戻すために運動をしたいと思っていたところ、2009年4月の筑波技術大学の入学の日に福永先生に勧誘され、もともとサッカーが好きだったこともありチームに入りました。最初からトラップ(ボールを止める技術)は褒められました。
本学での経験(学んだこと)で現在生かされていること
ブラインドサッカーは身体的なコンタクトが多いため、怪我をすることもありますが、鍼灸学専攻で身体について学んだことにより、自分の身体の状態を把握してケアができるようになりました。情報システム学科ではコンピュータについて詳しく学ぶことができ、日常生活での使用に役立っています。また、本学でブラインドサッカーを始めたお陰で、学生、社会人を問わず、友人が幅広く増えたことは本当に良かったと思います。
パラリンピックへの抱負
幸せな時も悲しい時も、勝った時も負けた時も、忘れてはならない事は感謝の気持ちです。パラリンピック出場という神様が与えてくれた貴重な時間。このチャンスを無駄にせず、どんな試合でも最後まで身体を張って全力で戦います。
在学生へのメッセージ
今はコロナでオンライン授業が多くて、仲間に会うことが少なかったり、大学生活の楽しいことをコロナのせいで味わえないことも多いと思いますが、諦めないことが一番大事です。
天気のように雨が降ることもあれば、晴れることもあります。いつも悪いわけではなく、諦めなければいつか良いことがあるので、諦めないで進んでほしいと思います。
日向賢(5人制サッカー日本代表)
ブラインドサッカーをはじめたきっかけ
知人の紹介から2009年にチームの練習に参加し、ブラインドサッカーを体験しました。その際は、試合のイメージができませんでしたが、同年、調布で開催されたアジア選手権を観戦したことで、試合のイメージも作れ、2010年から本格的に始めました。
本学での経験(学んだこと)で現在生かされていること
私は情報システム学科を卒業していますが、就職先では社内セキュリティ関連の部署で長年働き、学業で学んだことを活かせました。元々コンピュータを扱うことが好きで、在学中には学外のパソコンサポートサークルにも所属していました。障害がある方のコンピュータ使用のサポートを、電話、メール、ビデオ通話などで行っておりましたが、仕事の関係でカスタマーサービス関連の仕事に携わった際にそのことが活かされました。
パラリンピックへの抱負
今まで取り組んできたトレーニングが実を結び、メンバーに選出されたことを嬉しく思います。ただ、ようやくスタート地点に立てたという状況です。対戦相手は強豪国ばかりなので、大会本番まで最大限準備して、パフォーマンス向上に努め、チームのメダル獲得へ貢献できるように頑張ります。職場からは最大限の配慮をしてもらい、代表チームスタッフからは手厚いサポートをしてもらい、何より妻には日々の生活の大部分をサポートしてもらっています。感謝の気持ちを自分のプレーで返せるよう、全力を尽くして頑張ります。応援の程、どうぞよろしくお願いいたします。
在学生へのメッセージ
スポーツに関係なくても、自分の強みや興味のあることを見つけて、そこに全力で取り組むことが大事だと思います。自分はブラインドサッカーに全力で取り組んで、上手くいかないこと、悔しいことも多くありましたが、その過程の中で学ぶことがたくさんありました。競技に打ち込む中で苦しいこともありましたが、それ以上に喜びや達成感を感じられることもあり、チャレンジしないとそういった経験はできないと思います。何か打ち込むことを見つけて、全力で挑戦してもらいたいです。