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雑談しながら、真剣に。学生2人のビジュアル制作日誌

 

-2024年度オープンキャンパスメインビジュアル編-

実際貼られていた様子

2024年8月9日・10日に、筑波技術大学天久保キャンパスでオープンキャンパスが開催されました。このときのメインビジュアルデザインは、麻生さんと、私、坂本拓登がタッグを組んで担当させていただきました。
この記事では、私たちが手がけたメインビジュアルやその他のデザインについて、そのコンセプトや制作の裏側を、制作者目線でご紹介します。
 

当日イベントメインビジュアル
前日イベントメインビジュアル

 

2. 最初のコンセプトと当日イベントメインビジュアル

最初は、「どんな雰囲気にする?」「何を伝えたい?」といったざっくりした話からスタート。麻生さんとたくさん意見を出し合いながら、ラフ画を描きまくって、少しずつ形にしていきました。この段階が一番時間かかります。…まあ、途中で雑談して脱線するせいもあるかもしれません(笑)。担当分担としては、私がレイアウトデザインを中心に、麻生さんがイラストを担当しています。

2024年度OCのメインビジュアルのコンセプトは、大きく2つ。「手話」と「多様性」です。まずはこちらのポスターをご覧ください。

メインビジュアル初案、手話と文字が重なったデザイン

天久保キャンパスは、手話が日常的に使われる環境です。そこで、メインビジュアルには「技大」の手話をする手を採用しました。当初の案では、手話に加えて文字も重ね、「手話から言葉が生まれる」というメッセージを伝えようとしていました。
…が、視認性の問題で泣く泣くボツに。聴者にもろう者にも違ったメッセージが伝わるデザインにしたかったのですが、うまくいかず残念。ですが、最終的には「手話」を主体に堂々としたメインビジュアルができたのではないかと思います。

また、モデルには性別や学年を問わず幅広い方に協力していただき、合計8人が登場しています。(ご協力くださった皆さん、本当にありがとうございました!)
撮影時には、カメラの後ろで麻生さんが皆を笑わせていて(笑)、そのおかげで作り笑いではない、自然で素敵な笑顔がたくさん撮れました!

 

3. ロゴの話

ロゴ制作もなかなかの難産でした。正直に言うと、最初に見たとき「コウモリに見える…?」って思われた方、いるかもしれません(笑)
でも実はこのロゴ、いろんな意味が込められています。
・Open Campus(オープンキャンパス)の略称である 「OC」
・ろう・難聴者にとって大切な情報の入口である 「目」
・筑波技術大学がある場所、「つくば」の手話

ロゴ
ロゴに込められた意味

一見シンプルに見えて、実は色んな意味が込められているんです。「あっ、そういうことか!」と、ちょっとでも思ってもらえたら嬉しいです。
さらに、 ロゴに込めた意味を手話で解説する動画も制作しました。麻生さんが手話でわかりやすく表現してくれているので、ぜひチェックしてみてください!

麻生さんが手話でロゴについて解説
 

ロゴ解説動画

 

4. オープンキャンパス前日イベントのメインビジュアルデザインについて

オープンキャンパス前日イベントのメインビジュアルは麻生さんが中心となって担当してくれました。このビジュアルにはさまざまな要素がぎゅっと詰め込まれています。
たとえば、OPENの右に描かれた手のイラストは手話で「オープン」を表しています。そして、さまざまな顔たちも描かれていて、多様性を象徴しています。「いろんな個性を持った学生が集まっている大学」というメッセージを伝えています。さらに、ろう難聴者が使う補聴器や人工内耳、情報保障のパソコンテイクや音声認識など、筑波技術大学で使われている支援技術を盛り込みました。
また、天久保キャンパスにある学科(デザイン、機械、建築、情報)も、イラストとして表現されています。
麻生さんの可愛らしい画風が全体に活きていて、まさに「あそうワールド」全開です(笑)。自分の世界観をしっかり持っていて、それを形にできる力は本当にすごいなと、いつも尊敬しています。

カラフルな前日イベントポスター
カラフルな前日イベントポスター

 

5. 展開デザイン

メインビジュアルが決まったあとは、それをベースにしてカードや立て看板などへと展開していきます。ここにももちろんいろいろ工夫が詰まっています。
例えば、立て看板の上部にある矢印。実はこれ、「つくば」の手話の形になっているんです。気づいた人、いましたか? ろう者なら「おっ」と思えるような、ちょっとした遊び心です。ちなみにこの手のモデルは麻生さん(笑) 実際に写真を撮って、トレースしました。

カードにも仕掛けがあります。片面にはロゴの意味が書かれていて、上部のQRコードからは先ほどのロゴについての手話解説動画にアクセスできます。
もう片面には坊主姿の顔のイラストを描き、「オリジナルの顔を描こう」というテーマに。多様性を表現する一つの方法として、「自分だけの顔を描いてみよう」というメッセージを込めました。

立て看板デザイン
カードデザイン

 

6. ミニイベント

オープンキャンパスの期間中、なにか参加型の企画をやりたいな…と思い、「オリジナルの顔を描いてみよう」というミニイベントを開催しました。当日は、たくさんの人に描いてもらえて、「多様性」を視覚的に伝える場になれたと思います。
中には、ドラ◯もんやポケ◯ンなど、思わず笑ってしまうようなユニークな作品も登場(笑)。
自分では思いつかない発想に出会えるのも、この企画の面白いところでした。
「多様性」って、こういういろんな見方や表現のことも含まれているのかもしれませんね。
このミニイベントは予想以上に反響が大きく、参加者はもちろん、教職員や学生の方々にも楽しんでいただけたようです。嬉しい限りです!

らくがきスペース

 

7. 最後に

ここまで、メインビジュアルデザインのコンセプトや制作の裏話をお届けしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
オープンキャンパスのビジュアルが「学生の手でつくられている」と知ることで、少し違った見方ができるかもしれません。
麻生さんと私は、それぞれの得意分野がいい感じにかみ合っているんですよね。
「デザインって一人で黙々と進めるもの」と思っていた自分にとって、こうして相性の良い相手と一緒に制作できるのは、とても嬉しい出会いでした。自然とモチベーションも上がります。
ちなみに、2025年度オープンキャンパスのメインビジュアルも、麻生さんと私が引き続き担当させていただきます!そのコンセプトや制作の裏話についても、今後このマガジンでご紹介する予定ですので、ぜひそちらも見ていただけたら嬉しいです!

ポスター完成記念写真 (左:麻生直秀さん 右:坂本拓登)

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