オープンキャンパスでSF19展示やタイヤ交換体験を実施
写真1は今年度のオープンキャンパス(2019)において特別展示された実際にレース(スーパーフォーミュラシリーズ:日本最高峰のカテゴリ)で使用されているレーシングカー(SF19)です。
特別企画としてエンジン始動デモンストレーションを行いました。フォーミュラカーは普通の車のようにキーをまわせばエンジンがかかるわけではありません。チームスタッフが1時間ほどかけて入念に準備を行った後に、エンジンスタートと1分間ほどアイドリングデモを行いました。
写真2はエンジン始動デモを行っている様子です。最高速度は300km/hを超えるハイパワーエンジンですが、今回はアイドリングのみということで、本来の10%程度のパフォーマンスでしたが、それでも迫力がありました。
写真3は2年前のオープンキャンパス(2017)においてタイヤ交換体験を行っている様子です。フォーミュラカーのタイヤ(ホイール)は普通の車とは全く異なる構造で、センターロックナットがホイールの中心1か所のみで締結されています。そのため、熟練したチームメカニックであれば2~3秒(2~3分の間違いではありません)程度で交換することが可能です。
オープンキャンパスに訪れた高校生をはじめ、たくさんの方々がタイヤ交換を体験されました。初めての経験なので最初は戸惑いながらも、チームスタッフの丁寧な指導もあり、無事タイヤ交換を行っていました。
自動車分野は日本の基幹産業の一つであり、こうした体験を通じて、本学からも多くの卒業生が自動車メーカーや関連企業に就職し、技術者として頑張っています。
3D計測で得たデータをチームKCMGと共有
写真4はフォーミュラカーの3D計測を行っている様子です。計測は卒業研究の一環として、学生(システム工学4年生)が行いました。計測には3Dスキャナを使用し、車両の先端部(フロントウィング)と右フロントタイヤを外した状態で、フロントサスペンション周辺の計測中です。SF19は今シーズン(2019年度)からレースに導入された新型車両であるため、チームには詳細な3Dデータがありません。そこで、チーム(KCMG)から依頼され、技術協力の一環として3D計測を行いました。
本学で実車の3D計測を行うのは2015年(SF14)に引き続き2回目です。対象物としては非常に難易度が高い課題で時間内に予定していたすべての計測を行うことはできませんでしたが、Halo(ドライバを保護するコクピット上部の保護パーツ)と呼ばれる最も重要なパーツの貴重な3Dデータを得ることができました。得られた3DデータはチームKCMGと共有し、空力解析(シミュレーション)や3Dプリンタによる模型の製作などへ活用されています。
3Dスキャナは原理的に光を反射しない色(黒)を計測することはできません。そこで、写真5のように黒や黒に近い色の部分については専用の特殊スプレーで白くコーティング(微粒子)します。車両の下側は本来、黒色(カーボンブラック)ですが、コーティングにより、白くなってます。バックミラー(赤色)の下の部分にはスポンサーシップ契約を行っているため本学ロゴが左右に貼られています。バックミラー後方にはチームKCMGのドライバーである小林可夢偉選手のロゴ(Kamui)が見えます。
今回のオープンキャンパスでは、体験乗車は行わないということだったので(2017年度のオープンキャンパスではコクピット乗車体験も実施)、小林可夢偉選手が実際にレースで使用している専用シート(ドライバーの体に密着するよう手作りで製作される)がそのままの状態でした。
いざ、スーパーフォーミュラ選手権の舞台へ!
写真6は2019年8月17日(土)予選、18日(日)決勝が行われたスーパーフォーミュラ選手権第5戦(ツインリンクもてぎ)の決勝開始直前のスターティンググリッド上のマシンです。このレースの3週間前に本学に展示され、たくさんの学生らが触ったマシンがサーキットを疾走しました。
本学で3D計測を行ってからわずか3週間しかたっておらず、さらにお盆休みなどを挟んでのレースだったため、写真5にある白い塗装がアンダーパネルの隅に残っていました。本学のオープンキャンパスで展示と3D計測を行った車両に間違いないことが確認できます。フォーミュラカーはその卓越したスピードだけでなく、美しさも重要な要素であるため、目立つところはきれいにされていましたが、拭き取りづらい部分(下側や継ぎ目など)はコーティングが結構残っていました。
予選7位からスタートした可夢偉選手は順調に前を走るマシンをパスして、一時はトップを走行し優勝も期待されましたが、残念ながら結果は2位でした。写真8は決勝レース後に行われた表彰式の様子です。表彰式では嬉しそうというより悔しそうでした。本学のロゴを付けたマシンが日本最高峰の自動車レースで2位という好成績をあげたことは大変誇らしいことです。
写真9はサーキットのピット(車両の整備を行うための車庫)内で学生(2017年 当時4年生)が調整作業を見学している様子です。二人とも本学ロゴを指さししています。ピットにはチームスタッフと一部の関係者しか入ることはできませんが、調整作業を見学することが許され、普段見る機会のない特別なメカ(エンジンは見るだけならOK、写真撮影はNG)をたくさん見ることができました。
写真10は決勝スタート直前の様子です。2017年も決勝2位となり、最先端の自動車技術に触れることができたことに加え、モータスポーツを楽しんだ一日でした。
レース中はチームとドライバーのコミュニケーションは無線によって行われますが、トラブルが生じることもあります。そこで、手話の活用などの可能性も考えられます。
2020年シーズンはチームKCMGのマシンも2台体制となり、チームタイトルの獲得も期待されます。来シーズンも高大連携プロジェクトを通じてスポンサーシップおよび技術協力&学生交流を継続していく予定ですので、応援をよろしくお願いします。
(文責:広報室委員 下笠賢二)