2024年10月22日に開催された天久保キャンパス学園祭。実行委員長の星野さんと副委員長の巴さんに、今年の学園祭の前日と当日のお話だけでなく、今後の学園祭に向けてインタビューを行いました。
インタビューに応える委員長の星野さん(左)と副委員長の巴さん(右)
この度はお忙しい時期にインタビューをお引き受けいただきありがとうございます。まずは学園祭前日の準備や前夜祭の様子について教えていただけますか?
巴:前夜祭の準備では、実行委員10人のうち、5人が教職課程で昼過ぎまで準備に参加できず、残ったメンバーに任せていました。加えて、ステージ、現場、デコレーションなど各部門長が皆に指示を出して進める形でした。
18時に本部の企画から前夜祭が始まるまでスムーズに準備できました。みんなが盛り上げてくれたのが嬉しくて、本部で企画をして良かったと思いましたね。
デコレーション部門が会場づくりのために大掛かりな飾り付けを準備しました
学園祭で来場者を迎えるために現場部門が手分けして構内を片付け、清掃しました
前回のインタビューでチームとして動くことの大切さについて伺いましたが、それがうまく機能したということですね。
巴:そうですね、本部の企画では本部メンバーへの質問コーナーや、先生のモノマネを当てていくコーナーなど、みんな盛り上がってくれました。学生だけ参加した企画でしたので、大学のことや知っている人同士だからできる身内ネタも多かったです。
星野:独特なものが多かったので先生もいたら面白かったかもしれませんね。みんな本部のメンバーの意外な側面を知ることができてびっくりしていました。
その後、各店舗 ・模擬店でどのようなことを行うかの宣伝も行いました。昨年はそれぞれステージに立ってアピールしてもらっていたのですが、準備が大変だったことから今年は事前に作成したPR動画を作成し、発表を見る時間をつくりました。それもあって、進行はスムーズでした。
体育館にステージや客席を作るために協力して準備に臨む学生たち
星野:ですが、トラブルもあったとは聞きましたね。
7時半頃から9時まで1時間半程度、本祭のリハーサルのように学生をお客さんとして模擬店を開いたのですが、その時ブレーカーが落ちました。そのほかにもゴミ袋がないとか、現場部門、コンテンツ部門、本部そのいずれが管理するか、という問題が起きましたね。ほかにも、昨年よりもイベントが多くありましたので、当日はもっとお客さんが来るのに大丈夫かなと心配にもなりました。
そこで、模擬店を管理しているコンテンツ部門、ステージ部門と相談を兼ねて話しましたが、備品をどこの部門が用意するか揉めそうになりました。最終的には各部門のリーダーが責任を持って対応してくれて、必要な備品を借りることができました。メンタルケアも大事ですが、自分の力でできる事をやってみることも大事だと感じました。
こういう時、本部もサポートをするのですが、それぞれの部門で自分たちで判断して動くということは学園祭を通して皆が成長できたと思います。特に部門長がまとめてくれて頑張ってくれましたね。それぞれの部門内での動き方は4月や5月の頃よりも、お互いで信じ合って補っていました。
On/Offラウンジ前には数多くの模擬店が並び、参加者が集まっていました。
学園祭の運営側から見た当日の様子や手応えについて教えていただけますか?
巴:本祭朝の準備は早くからしていて、本部は7時に集合でした。はじめに当日の流れとシフトの確認をして、9時半からお客さんを入れる予定でしたが、すでに9時には並び始めていました。私はお弁当の手配やお客さんのお迎えや諸々の確認を担当していました。
現場から朝ブレーカーが落ちたと報告がありましたが、問題が起きたのは朝だけでその後は問題なかったですね。シフト通りに動くことは難しかったですが…
参加者の方々は皆思い思いに学生の企画に参加、交流し、学園祭を楽しんでいました
当日キャンパス内の教室は学生の企画で使用されました
巴:去年の参加者の合計は630人(学生含め)でしたが、今年はさらに増えて800人以上(学生含め)集まってくれました。
ゲストに、ハンドサインやデフリンピックに関わる方など、外からお呼びした人が多かったことも、 たくさん来てくれたことにつながったと思います。
本部の企画とその他の企画についてはどのようなものがありましたか?
星野:昨年は花火で学園祭の復活を象徴しました。今年は学生を中心に「筑波技大生の主張」として、バラエティ番組の「未成年の主張」のように、技大生の主張で盛り上げられると考えて企画を出しました。技大だからこその演出として、ステージの上スクリーンで情報保障と一緒にその人の主張を目で見て伝えることを計画し、実現できて楽しかったです。革命的ですよね。
巴:みんなの前で話すことに抵抗感があるという人は多かったですが、ぜひこの人に話してほしいという人に私たち実行委員のメンバーから声をかけて出ていただきました。みんなにその人の個性や主張が伝わって良かったですし、後からステージに立って良かったと言っていただけました。
星野:1〜4年生まで選ばれた人が順番に主張したのですが、お客さんもリアクションしていただいて、掛け合いも生まれて、体育館で一体になれたのは楽しかったですね。
巴:デフリンピックや国際手話の交流も良かったです。宮 の国際手話を見て自分たちも覚えたいと思いました。
春日キャンパスに通う視覚障害の学生 を呼んでの点字体験も良かったですね。コミュニケーションがうまくいくのか心配でしたが、声も含めた情報保障の出し方の工夫が、聞こえない人と見えない人をつなぐことができました。お客さんにも、展示の読み方や作り方がわかったと言ってもらえた。嬉しい顔を見ることができてほっとしました。
大喜利企画に参加する学生と一体になる観客
ダンスサークルのパフォーマンス
本学学生による軽音部など様々なステージ企画が繰り広げられました。
巴:その他には3年がメインの、大喜利企画一本という企画も面白かったです。誰が一番個性を出しているかというテーマで、写真で一言言ってもらいました。模擬店のお客さんも巻き込んで。
ハンドサインは技大が短大の頃にお呼びしていたことを覚えていらして 、「また呼んでくれてありがとう」といっていただけました。企画を行うにあたって音量の関係で体育館が使えず、講堂で実施することになりました。
ハンドサインは歌だけでなくダンスもあり会場も一体感がありました。歌詞動画も横で流すのですが、このタイミングは工夫して合うようにしました。
この企画では、本部がハンドサインの人たちと一緒に、細かい打合せや演出も含めや作業を行い、裏方として企画のサポートを行ないました。企画がうまくいくように調整や実際に動いていくのが本部の見えない仕事だと実感しました。
最後にハンドサインから、本部もステージに上がるように言われて、お客さんからありがとうをもらった時は泣きそうでした。改めて、私からもありがとうと言いたいです。辛かった思い出もありますが、最後にスッキリとした気持ちになりました。学園祭をやると決めてメンバーを集め、準備から当日までが一つになった感覚でした。
今年の学園祭を運営していくにあたって、去年の委員長の吉岡さんやOBとのやりとりや、
クラウドファンディングなどの新しい試みについて、改めて振り返っていかがでしたか?
学園祭の実行委員としての活動を振り返る二人
巴:学園祭当日はOBもたくさん来てくれました。去年の実行委員長の吉岡さんもいらしていて、「本当によく頑張ったね。私たちも大変だったから、それを引き継いでくれて嬉しかった」と言ってくれました。
私達が学園祭を始めた時から、OBに会う機会はあまりありませんでした。
星野:LINEや連絡はずっとしていたのですが、会うことはありませんでしたね。
当日私はお会いできませんでしたが、前夜祭で準備していた時に、たまたま学外でお会いすることができて、一人の力をグループの力に変えられると言われたのが救われました。
巴:当日は先輩を見かけた時に、うまく感情を表せないけど、先輩たちが頑張ったことを引き継げたと思いました。先輩が0を1にして、私たちは1を100に変えられたのかなと。
星野:今年の学園祭はクラファンも含めてたくさんの助けがあって実施できました。卒業生のステージ協力もあったからこそできました。
みんなで、イベントの成功を願うことができたのが、今回のテーマ「つなぐ」言葉を超えた輪に繋がったと思います。本当にありがとうございます。
巴:私はクラファンを最初にやりたいと聞いた時、正直難しいと思いました。お金をどれくらい集めるかわからなかったですし。みんなが理想でやりたいと思っていることに対して、私は現実を見るので、それはできないんじゃないかとネガティブなことも言っていました。
ですが、実行委員のメンバーができるよと言ってくれて、難しいことでも言葉にすることで目標につながるのを目の当たりにしました。その時、できると言えばできるしできないと言えばできない、という「言霊」があると思いましたね。
私は人の意見と合わせるのは苦手でしたが、この活動を通して協調性が身についたのではないかと考えています。何かを成し遂げるのは将来社会に出た時にも役に立つと思いますので、実行委員で良かったです。
On/Offラウンジに展示された本学歴代の卒業写真によって世代間も「つなぐ」企画
来年の学園祭の実現に向けて、先輩から引き継ぎ様々な苦労を乗り越えて「つなぐ」学園祭を実現したお二人から、後輩や高校生に伝えたいことがありましたら教えてください。
星野:実行委員長になることは、ある意味学校を代表して全てをまとめることですので、私もはじめプレッシャーを感じていました。
自分が委員長としてこの大きなイベントをまとめられるのか不安がありましたが、実行委員のメンバーがいて、学外の方との繋がりもあって、 私一人ではなくみんなで頑張っているんだ!と言えるような一体感をみんなで共有できた学園祭になったと思います。
私から来年の学園祭の実行委員に向けて言えるのは、立ち上げの時には、隣にいる友達に声をかけ、仲間を集めてチャレンジすることが大事ということです。
私の場合には、理想を目指す私と現実的に考えて計画的に考えてくれる巴さんがいて、お互いの良さがうまくかみあいました。チームワークは大変だと思いますが、積極的に力を出し切って進められれば、どんなに大きなことでも、ゴールにつながると思います。ぜひチャレンジしてください!
巴:大学の4年間は入ってみるととても短くて、あっというまにもう3年生になっていました。今年の学園祭を終えて思うのは、これから社会に出た時に大学生活で一番覚えているのは学園祭だろうということです。大学生は人生の中の夏休みのようなものだと私は考えていて、そこでしかできない青春があります。人生を豊かにするためにもぜひ技大に来てチャレンジしてほしいです。
技大の良さは 耳が聞こえないからこそ、聞こえない同士で言い合えることが大きいと思いました。聞こえる人に囲まれるのと聞こえない 、ひとりにさせないのが技大のいいところです。
皆がつながり、来年につながる学園祭について、とても貴重なお話をどうもありがとうございました。