国際交流活動レポート〜韓国編
筑筑波技術大学では、世界の障害者のための大学と交流協定を結び、シンポジウム・講演会の開催や、各種交流プログラムを通じて研究者や学生の交流を進めています。交流プログラムとしては、特設授業科目「異文化コミュニケーション」による協定校への短期派遣を実施しています
派遣先によって異なりますが、5~12日間程度の期間中、協定校での施設・設備見学、専門科目の体験授業、現地学生との交流などを行うプログラムです。選抜された学生には、大学の基金等から派遣支援が行われます。授業を受け、現地の学生と学園生活をともにしながら国際理解を深め、文化体験を通じて視野を広げることで、自らの学修や将来の目標を考える貴重な機会となっています。
(※出典:tsukuba-tech.ac.jp/international/overview.html本学ウェブサイト「国際交流」より一部抜粋)
昨年度国際交流プログラムに参加した星野萌さんが、この活動を通じて得られた自身の経験や学びについて語ってくれました。
研修に向けて
私は韓国への研修にぜひ参加したいと考えていましたが、一時は新型コロナウイルス感染症の影響でプログラムが停止していました。しかし、昨年度から募集が再開され、次の4つのことを学びたいという思いから応募しました。
1. 言語を知りたい
多文化社会を理解するために、言語に触れることが自分の目標です。現在、私は日本語・英語・フランス語・日本手話の4つを学習しています。日本語と韓国語では、発音や文字の形が異なりますが、日本手話で話すと不思議と韓国のろう者に通じることがあると聞いたことがあります。授業やサークル活動、食事などを通して韓国の学生の生活に触れ、日本の学生との違いを知りたいと思いました。自分も手話でどこまで伝えられるか、試してみたいと思ったのです。
2. 韓国の若者文化や流行・デザインを知りたい
韓国文化は日本だけでなく、世界中で注目されています。韓国ドラマやバラエティ番組などからは見えにくい、リアルな若者文化に興味がありました。J-POPとK-POPの違い、街中のファッションや商品のパッケージ、看板やサインのデザインなどを見て、若者に好まれる文化や最新のデザインに刺激を受けながら研究したいと考えました。
3. 韓国のユニバーサルデザインを知りたい
韓国の空港や公共施設、街中でのバリアフリー環境が進んでいると聞いており、応募動機の一つとなりました。サインや製品のデザインにおけるユニバーサルデザイン(UD)の現状を、自分の目で確かめたかったのです。
4. テコンドー発祥の国を知りたい
私は小学5年生の頃から、韓国の国技であるテコンドーを続けています。小さな頃から韓国に興味を持っていたこともあり、現地で文化に触れたいと思いました。
念願の研修へ参加して
私は約10日間、韓国・平沢(ピョンテク)市にある韓京国立大学で、ユニバーサルデザインに関する研修を行いました。研修では、さまざまな障害をもった学生や、彼らを支える職員の方々と出会い、筑波技術大学や日本におけるユニバーサルデザインについて紹介しました。
韓国・平沢市にある韓京国立大学のキャンパス風景。ユニバーサルデザインに関する研修の場となった。
また、韓国の民族衣装を体験したり、若者文化の発信地を訪れたりする中で、商品パッケージのデザインやカフェのユニークな内装などを見て、多くの刺激を受け、楽しく充実した時間を過ごしました。
韓国の伝統衣装を体験する星野さん。文化への理解を深める貴重な機会となった。
特に印象に残った授業
もっとも印象深かったのは、ろう・難聴学生とともに国際手話を学んだ授業です。手話表現の違いがあっても、共通する表現方法を学ぶことで、コミュニケーションの幅が広がりました。「またどこかで会おう」と言い合えるような関係を築けたことは、この留学があったからこそだと感じています。
研修中に出会った学生たちとの交流風景。国際手話を通じて言葉の壁を越えたつながりが生まれた。
研修を通じて得られた新たな視点と希望
この経験は、現地で新たな学びを得るだけでなく、これからの生活にも新たな視点を持つ きっかけとなりました。これにより、聴こえにくさを周囲に理解してもらえるコミュニケー ション手段、人や環境のために活かせるサスティナブルな活動に向けての情報収集・発想力 を考えるようになり、世界に向けて自分の視野を広げ、新たな希望を持つことができました。