総合デザイン学科ではデザイン学特別研究として各自が決めたテーマについて1年間かけて作品制作/論文執筆を行います。学外へ向けた成果発表の場として展示会を実施するにあたって、今年度も昨今の新型コロナウイルス感染症の状況から人の集まるギャラリーでの展示を断念し、オンラインで開催することとなりました。本記事では開催の概要や見どころなどを紹介します。
開催概要
URL: https://ntut-design.jp/ex/2022/
期間: 3月1日(火)〜 3月31日(木)
交流会:3月16日(水)18:00
Zoomを使用して4年生、教員、学生、OB教員など本学関係者による交流会を実施します。
卒業生等で参加ご希望の方は上記HP内お問い合わせからも承っております。
展示作品と見どころ
コロナ禍以前は例年展示会場で作品の実物およびパネルの展示を行っていましたが、オンライン展示会では作品とパネルのデータによる展示を行っております。展示パネルのデータをそのまま公開しておりますので、卒業生が作品や論文についてどのように計画を立て、成果物を作成したかご覧いただけます(一部著作権に配慮して限定的な公開となります)。
大学4年間で学んだ様々なデザインの集大成とも言える作品/研究は、自身の障害に向き合った例も多く、社会へ向けて障害についての理解を促す作品や共生社会への新たな提案など少人数ながら多岐にわたります。本学ならではの卒業制作展をぜひご覧ください。
あわせて、総合デザイン学科では学科内でその年の卒業研究に対して、最優秀賞と優秀賞を教員の投票によって選出していますのでご紹介します。
環境デザインコース(旧カリキュラム)
- 聴覚障害者の私⽣活におけるプライバシー意識・⾏動に関する基礎的研究
- 聞こえない人・聞こえにくい人にとってのオンライン講義・会議の実態
- 誰でも利用しやすく楽しめるスキー場のセンターハウス
製品デザインコース(旧カリキュラム)
- 訪問理美容に関する実態調査及び理容師を支援するワゴンについて
視覚伝達デザインコース(旧カリキュラム)
- 視覚障がい者がフィンランド発祥スポーツ「モルック」を楽しむための調査とガイドブックの制作
- 漫画表紙の構成要素の分析及び表紙デザインをまとめた書籍の作成(優秀賞)
- 聴覚障害と音響機器の活用に関する調査及び聴覚障害者が音響機器を効果的に活用出来るようにするためのガイドブックの制作(最優秀賞)
最優秀賞
「聴覚障害と音響機器の活用に関する調査及び聴覚障害者が音響機器を効果的に活用出来るようにするためのガイドブックの制作」
聴覚障害のある当事者の視点で、聴覚障害や音響機器の種類・特性を整理し、それぞれのケースで音楽を楽しむための機器に関するガイドブックを作成しました。1年間を通して計画的に進めた結果、130ページを超えるボリュームでありながら、多数の自作イラストレーションが入ることによって解説が分かりやすく親しみやすく出来ています。アンケートの集計やデータの整理、それらをもとにガイドブックの構成、素材の作成と編集という流れも的確で、書籍としてのクオリティと合わせて高く評価されました。
優秀賞
「漫画表紙の構成要素の分析及び表紙デザインをまとめた書籍の作成」
1990年から2019年までの30年間のSF・ファンタジー漫画の人気作品496タイトルのデータを集計し、漫画の表紙デザインの構成要素を「文字」「イラスト」「レイアウト」「色」の点から傾向の分析と30年間の人気作カタログを合わせた書籍を作成しました。膨大なデータの収集、整理、分析に加え、それをやりきるひたむきな姿勢が評価されました。
ピックアップ作品
「訪問理美容に関する実態調査及び理容師を支援するワゴンについて」
コロナ禍では理容師が施設や家庭を訪れる訪問理美容の需要が高まっています。本研究では、訪問理美容で使用するワゴンのプロダクトデザインを行いました。実際に訪問理美容に同行し、現状の調査から問題点の洗い出し、解決のための計画を立て、3DCADによるモデリングから実物を制作しました。持ち運びやすく機能的なアイデアの溢れる実用的なワゴンとなっています。
全国聾学校オンラインフェスへの特別参加
URL: https://www.mito-sd.ibk.ed.jp/?page_id=178
水戸聾学校が中心となって全国の聾学校を結んで開催されたオンラインフェスティバル(2/4〜2/28開催)に本学も特別参加しました。今年度の卒業研究を作成した4年生2名の発表と今年度の卒業制作展に過去の卒業生の作品を加えた展示を行いました(2月中はパスワードによる限定公開)。
ご招待くださった全国聾学校オンラインフェス運営の皆様およびご関係の皆様にはこの場を借りて感謝申し上げます。