保健科学部学生と石原学長の懇談会を開催しました
対談  

保健科学部学生と石原学長の懇談会を開催しました

2022年6月29日、石原保志学長と学生たちとの交流を深める場として保健科学部の学生との懇談会を開催しました。技大に入学したきっかけやオンライン授業の感想、大学への要望や理想とする未来の技大など、一人ひとりの声に耳を傾けながら行われた懇談会では、和やかな雰囲気の中、活発な意見交換が行われました。

自己紹介

石原学長
石原保志 学長 2019年4月から現職。博士(心身障害学・筑波大学)

学長:本日はよろしくお願いします。それではまず、簡単にみなさんの自己紹介をお願いします。

小久保:鍼灸学専攻2年の小久保優香です。三重県出身で、ピアノ演奏と料理が趣味です。

田辺:鍼灸学専攻2年の田辺凪と申します。滋賀県出身で、趣味はいろいろな視覚障害者スポーツやギターなどです。

:情報システム学科2年の平海依と申します。出身は長崎県です。趣味はカラオケ、読書、食べることです。

赤木:情報システム学科4年の赤木雅弥と申します。三重県出身で、軽音サークルとフロアバレーボールサークルに所属しています。

岡澤:情報システム学科3年の岡澤洋成と申します。出身は栃木県で、「宮Friendly」という学生団体の代表を務めています。

網本:理学療法学専攻2年の網本実和です。大阪出身です。映画やアニメ、音楽が好きで、歌うことと寝ることでストレス発散しています。

松原:理学療法学専攻2年の松原一生です。東京都出身で、中学からフロアーバレーボールを続けています。


技大に入学したきっかけ

田辺凪さん
田辺凪さん 保健学科鍼灸学専攻2年

学長:みなさんは技大のことをどうやって知ったのかな? 技大を選んだ理由も聞かせてください。

小久保:先輩が進学したことで興味を持ってオープンキャンパスに参加したのがきっかけです。私が専攻する鍼灸は盲学校でも学べますが、技大ならば大卒資格も得られます。また、大学に来ればさまざまな地域、年齢の人と友達になれてコミュニケーションの場が広がるとも考えました。

田辺:盲学校在籍時に、学校の先生や先輩方とお話しする中で技大のこと知りました。私も鍼灸の分野に興味があり、盲学校の専攻科よりも充実した学習や経験ができると思い技大を選びました。

:地元の盲学校の先生から聞いて知りました。PCには全く詳しくなかったのですが、プログラミングに興味があり、就職率も高かったことから、技大を選びました。

赤木:高校時代の先輩が技大に進学したことと地元で開かれた大学説明会で知りました。選んだ理由は、人間関係が充実していそうだったことと一人暮らしがしたかったことです。

岡澤:技大のことは高校の紹介で知りました。先輩が進学していたことと学費が安かった点から進学先に選びました。

網本:親友が技大への進学を考えていると聞いて知りました。その親友が先に入学し、大学生活が楽しそうだなと感じたこと、障害に対する適切な支援が受けられるので学業に集中できると考えたことが選んだ理由です。

松原:母校の専攻科であん摩を学ぼうと考えていましたが、親に「同世代の友達と関わるきっかけを増やしなさい」というアドバイスをもらったことと、友人や技大を進学した先輩からも話を聞いて進学を決めました。


オンライン授業の感想

小久保優香さん
小久保優香さん 保健学科鍼灸学専攻2年

学長:みなさんとちゃんとお話したいと思ったのがコロナの対応です。ずっとオンラインでやってきた学年もあるし、対面も併用してきた学年もあるけど、オンライン授業をやってみての感想を聞かせてもらえますか?

小久保:感染の危険性が低く、安心して授業を受けられる点はメリットですが、インターネットの操作に慣れていない人には勉強する上で壁ができてしまうデメリットも感じました。また、コミュニケーションも減ってしまう可能性があると思います。

田辺:グループワークや実物を触ることで理解することが不可欠な科目をオンラインで学ぶのは大変でしたが、講義形式の科目や先生と一対一のコミュニケーションが取れれば良い科目に関してはありがたかったです。

:通信状態に左右されますし、他の人の反応を見られない点が少し物足りないです。講義室への移動がないので時間に余裕は出ますが、私は直接学内を移動して授業を受ける方が気持ちの切り替えができると思います。

松原一生さん
松原一生さん 保健学科理学療法学専攻2年

赤木:アーカイブなどが残る授業では、学習効率が上がったと感じています。他方、他学生とのディスカッションがしにくい側面もあったため、制限緩和後は対面授業の楽しさも実感しています。

岡澤:僕はオンラインのままでも良いと感じています。柔軟に予定が組めてどこからでも参加できるし、パソコンと通信環境さえあれば良いので、欠席が減ると思います。クラス内の交流は少なかったですが、逆にプライベートも学びも、クラスの人間関係にとらわれることなくできました。

網本:オンライン授業はずっと部屋で受けるのでメリハリがなく、授業に集中し続けるのが難しかったですし、質問もしづらいように感じました。

松原:僕の場合は、演習や実習以外の授業は、先生方も配慮をしてくださるのでそんなに困ることがなくやりやすかったです。

学長:なるほど、ありがとう。昨年度の後半から感染状況が収まってきたし、大学も感染対策が分かってきたので、課外活動などの制限を緩和しつつありますが、やはり「感染が怖い」という心理を持つ人がいるのも事実です。その点は引き続き注視しないといけないと思っています。


技大に要望したい学部・学問領域

岡澤洋成さん
岡澤洋成さん 情報システム学科3年

学長:保健科学部では今、鍼灸・理学・情報が学べますが、それらとは別に、もしも技大にあったらもっと魅力的だなと感じる学部や学問領域はありますか?

田辺:質問の答えとは外れてしまうかもしれませんが、僕は盲学校にいたので鍼灸は小学校の時から知っていましたが、鍼灸以外の進路がイメージできない状態でした。特に地方の盲学校の生徒は、鍼灸と教員の2つのみと言っても過言ではないぐらい選択肢が少ないので、鍼灸以外の学問は想像しにくいかもしれません。

:例えば福祉だと、視覚障害者は音楽に携わる方も多いので、そういう他の大学にはあるけれど、今の技大にはないような分野にも精通していけるともっと賑わっていくんじゃないかなと思います。

平海依さん
平海依さん 情報システム学科2年

岡澤:違う大学で社会福祉学を学んでいる友達がいて、その人が技大を選ばかなった理由は「人が少ないと思ったから」と聞いたんです。そういう人は結構自分の周りでは多くて、人を増やすためには、社会福祉学とか、学生自身も当事者で、共通点も多いような新たな学部を創設するのは一つあるんじゃないのかなと。

赤木:個人的には、学生を増やし過ぎると分散してしまい、音楽とか社会福祉とか、専門性が高くなるにつれて孤立する人が出てしまうじゃないかなという不安があります。専門性よりは一般教養など1年生の頃にやっている授業内容を2年生以降も続けてやると仲間意識が高まるんじゃないかなと思います。


未来の技大のカタチ

網本実和さん
網本実和さん 保健学科理学療法学専攻2年

岡澤:技大の強みには、視覚障害者や聴覚障害者のみを受け入れるという点がありますが、それを緩和して、障害者と関わりながら社会福祉を学べるというような形で、健常者も含めて人を確保する方法も良いと思うんですが、学長はどう思いますか?

学長:すごい大きな話だね。視覚や聴覚に障害がある人も、障害のない人も学生として技大に通う。私が答える前にみんなはどう思う?

田辺:教育学部のような学部を設定して、専門的に特別支援教育に重点を置くようなやり方であれば視覚障害者の方も、健常者の方も興味を持ってくださる方が多くなるんじゃないかなと思います。

小久保:とても良いことだと思います。盲学校は人数が少ないので、コミュニケーションの方法が分からないっていう人もいると思うんです。それを変えていく力になるのかなと。今後、一般社会で働けるような人間関係の作り方を学ぶ場としても良いし、共生社会にもつながっていく良い試みだと感じました。

赤木雅弥さん
赤木雅弥さん 情報システム学科4年

:私も健常者を入れることには賛成で、比率が決まっていればなお良いと思います。盲学校やろう学校から来た人たちの中は、障害者だけの環境だから安心できると感じて入学してきた人もいると思うので、そういう面では健常者が増えすぎない方が良いのかなと。

網本:障害者と健常者、お互いの視野が広がる良い試みだとは思いますが、平さんが言ったように少し心配な面もあるので、慎重にやっていくべきなのかなと思います。

田辺:もしも健常者を入れるということになったのであれば、今のスタイルで学科もそのままで健常者の方を少数入れてみることで、障害者に配慮した授業のやり方も染み付くのではないでしょうか。

松原:肢体不自由や精神障害を持っている方が高校以外、大学などはどういう所に行っているのか、何か専門の学校があるのかってあまり分からない。だから、障害者を受け入れる大学という強みがあるのであれば、肢体不自由や精神障害の方を受け入れても良いと思います。

学長:私は健常者を入れることには躊躇する面もある。どうしてかと言うと、先生方は今、視覚障害や聴覚障害に配慮して授業をやってきている。ところが健常者がそのクラスの中に入ってくると、健常者に合わせて授業をやっちゃうんじゃないのかな、ということを心配しているんだ。

:授業ではとても手厚い配慮をしていただいていると思いますが、社会に出るとそれは通用しないと思うので、健常者に合わせるとか、健常者の方にこういう配慮をしてほしいとお願いするということも、大学生のうちから練習しておいた方が良いのではないかなと思います。

赤木:確かに、できないことを人にお願いするということは、大学ではなかなかできないことなので、そういうところは不安材料というか、社会に出た時に苦労するのかなという風には感じますね。

岡澤:結局社会に出たら、健常者に合わせて生活していくわけであって、その辛い思いをするのが先であるか、後であるかだけなので、自分としてはしょうがないし、良い勉強なんじゃないかなと。

松原:個人的にはスピードや授業の進み具合とかあまり配慮してほしくないですね。僕は逆に健常者に合わせちゃって良いと思っているし、健常者の方がクラスに入っても大丈夫だと思います。

学長:なるほど、今日はみんなの率直な意見を聞くことができて大変参考になりました。ありがとうございました。