自己紹介
学長:本日はよろしくお願いします。それではまず、簡単にみなさんの自己紹介をお願いします。
秋吉:鍼灸学専攻3年の秋吉桃果です。趣味は歌うことで、中学から合唱を始めて、今も筑波大学の合唱団に所属しています。
白鳥:鍼灸学専攻3年の白鳥雅也です。フロアバレーとバンドのサークルに所属しています。DJが趣味で、学祭などにも参加しています。
大久保:理学療法学専攻3年の大久保賢二です。サッカーや野球などのスポーツ観戦が趣味で、スタジアムに行くことも多いです。
工藤:理学療法学専攻2年の工藤綾乃です。スポーツはすることも観戦することも好きです。今はブラインドサッカーをやっています。
大塚:情報システム学科3年の大塚勇哉です。PCを触ることが好きで、ガジェットを見たり集めたりすることが趣味です。
新井:情報システム学科3年の新井愛海です。音楽鑑賞や読書、ファッション、写真が趣味で、食べ物や洋服、風景の写真を撮ることが多いです。
入学したきっかけ、動機
学長:みなさんは、何がきっかけで技大に入学したの?
新井:実はもう1つの大学と迷っていたのですが、技大のオープンキャンパスに個人面談に伺った際、「将来に繋げられそうだな」と思ったからです。
大塚:小学生の頃、家族がコンピューターを使っていろいろな情報を見ているところを見て、コンピューターに興味を持つようになったのですが、学習していく中で、自分たち視覚障害者がコンピューターを使えるのは、そうした環境やサポート体制が整っているからだということに気づきました。自分もそうした環境を作る技術に何か還元できたらと思い、技大に入学しました。
工藤:私は以前に鍼灸の資格を取り、自営で訪問マッサージをやっていました。その時、治療していた患者さんの身体が動かなくなることが増えてきたんです。そうした身体の異常についてもっと知りたいなと。理学療法士はそういう面で専門的だと思ったので、技大に入学しました。鍼灸の資格を取った後、ここの東西医学統合医療センターの研修生として2年間通っていたので、技大のことは知っていました。
大久保:もともとスポーツが好きで、スポーツ関係の仕事がしたいと考えていた時、リハビリを通してスポーツに関われる理学療法士という仕事があると知って。高校は普通校に通っていたのですが、勉強する環境に苦労したので、技大のことを知って、目のことができるだけストレスにならない環境で勉強したいなと思い入学しました。
白鳥:僕は中学生までは弱視だったのですが、視力が落ちて全盲になった時に、人に助けてもらう機会が多くなって。人の温かみをたくさん知る中で「何か返せるものがあると良いなあ」と思ったんです。高校から盲学校に通うのですが、その頃から鍼灸・あんまの仕事を目指したいなあと。鍼灸の勉強は他の盲学校でもできますが、どうしても人数が少ない。技大ならば同年代の仲間と集団で勉強ができるし、自ら外に出ていくことで新しい人間関係ができたら良いなと思い、ここを選びました。
秋吉:私は理療科の教員を目指していて、教育のことを勉強したいなあと。理療科とは違うのですが、技大では教員免許が取れるのと、鍼灸も勉強できる点が良いと思いました。また、 宿舎もあるので、一人暮らしを始めるきっかけになると思い、技大を選びました。
大学のサポート体制について
学長:みなさん、いろいろな理由で技大を選んでくれたんだね。その選んだ理由に、大学は応えられているかな?
工藤:私が鍼灸の資格を取った専門学校では、1クラス30人、2クラス合同で60人という形式の授業でした。技大では学生の人数が少ないこともあり、先生がすごく親身になって、丁寧に教えてくれたので、すごく分かりやすいなと思います。
学長:少人数教育は技大の1つのアピールポイントなんだけど、やっぱりそこは良かったんだね。
工藤:はい。中には先生が二人付いたり、クラスメイトが休めば自動的にマンツーマンになったり。家庭教師かなってくらい手厚く、気は抜けない感じになります(笑)。
大久保:僕は去年、視力が落ちてしまったのですが、そういう非常事態でもすぐに対応ができる環境があったのは、この大学ならではなのかなって思います。あとは、自分と同じ境遇の友だちと会えたことも刺激になる点があるので、この大学に入って良かったと感じています。
自ら情報を収集する意識の大切さ
学長:技大の先生方は、学生に「自分で調べる」ことを意識させるようにしています。自分から工夫して取りに行こうという姿勢がないと、情報は待っていても来ないんだよね。みんな、そうした点は意識している?
新井:この間、日本点字図書館に行ってきたんです。その時、小型の機械でプリントとかをスキャンしてくれるものが開発されていると知りました。そういう便利なものを活用して、できるだけ人の手を借りないで、いろいろなことができるようになりたいなって日頃から思っています。
秋吉:学内でのコミュニティができたのは、情報収集や知見を広める意味でも良いことだと思います。技大には自分と同じ境遇の人もたくさんいるので、弱視にもいろいろな種類があって、全盲の人もさまざまな工夫をしていることが分かって、「ああ、こういう風にやれば良いんだな」ということを知ることができたし、学外にも知り合いができました。
学長:技術はどんどん進歩して新製品も出てくるけど、「自分から身近な情報を取っていく」という姿勢が大切だよね。また、同じ境遇の仲間と一緒に学び、生活を共にすることにも大きな利益があると思うんだ。たとえば卒業した後、同じ障害がある人と一緒の職場になることは少ないし、そういう環境はどうしてもストレスが溜まる。そのストレスを発散する上でも、心の通じ合った仲間同士で忌憚の無い話をできることが大事だね。
技大に入って良かったこと
学長:最後に、「技大に入って良かった」と思うことを教えてもらえますか。
秋吉:一番印象に残っているのが教育実習です。実習の前には点字の友だちに点字を教えてもらいました。そうした機会を経て、大学のうちに教育実習に行けたことに意味があったし、技大に入って良かったと思います。
白鳥:やっぱり人間関係です。技大では情報システム学科の方々とも仲良くなれるので、たとえば、鍼灸の学生で機械が苦手な人がいれば、情報の子が教えてくれるとか、そういう関係ができることが大きいなって。
大塚:「視覚障害と情報」というテーマで研究されている先生がいらっしゃるなど、学習環境も整っています。そういった環境で過ごせるのは、自分にとって本当に大きなことだと感じています。
新井:クラスメイトや他の学科の人たちと関わるようになって、自分の障害の状況とかを話し合う中で、「ここは自信を持って良いんじゃないか?」とか、「もうちょっと頑張れるんじゃないか?」とか、客観的に自分の今の状態を捉えることができるようになりました。そういう環境が整っていることに、本当に入学して良かったと思います。
秋吉:大学生っていろいろなことができて、楽しいなあ、充実しているなあって。あと一年、もっと楽しく、国家試験の勉強も他のことも楽しんでいけたら良いなと思っています。
学長:大学の4年間で一番大事なのは勉強です。でも同時に、この4年間というのは、今までよりも自分の裁量で時間が使える期間。だから、いろいろな社会体験もしてほしいですね。学校の友だちや先輩、後輩の話を聞くのはもちろん、大学が企画する体験授業や海外研修などにもぜひ積極的に参加して、充実した大学生活を送ってほしいと思います。