自己紹介
学長:本日はよろしくお願いします。それではまず、みなさんの自己紹介から。
高橋:産業情報学科のシステム工学専攻3年、高橋洸佑です。秋田県出身で、体を動かすことが好きです。
柳谷:同じく、システム工学専攻2年の柳谷紬です。兵庫県出身で、趣味は読書です。
渡邊:総合デザイン学科4年の渡邊優香です。高知県出身で、趣味は映画鑑賞です。
伊藤:同じく、総合デザイン学科4年の伊藤悠美です。奈良県出身で、絵を描くことや、DVD鑑賞、読書が趣味です。
高原:情報学科情報科学専攻3年の高原ゆうかです。愛知県の名古屋聾学校出身で、趣味はドライブです。
永田:同じく、情報学科情報科学専攻2年の永田優志です。趣味はバスケットボールです。運動が大好きです。
技大が選ばれる3つのポイント
学長:技大に入ってみて、良かったと感じる点はありますか?
永田:情報保障の面と、先輩・後輩の関係があまり厳しくないからコミュニケーションが取りやすくて仲良くなりやすい点が良いかなと。あとは先生の対応も良いかなっていう風に思います。
高原:プログラミングを学べたことが良かったと思います。あとは聾の先生方がいらっしゃるので、その先生方とお話を通じて、聾の先輩からのアドバイスをもらえるのが良いところです。
伊藤:たくさん同志がいるので、コミュニケーションがスムーズにできてお話ができるということと、あと講義について先生も手話を使ってくれるので、手話を使って学べるので、先生にはっきりと意見を伝えることもできるということです。
渡邊:他の大学と比べて学生の数が少ないのと、先生との距離が近いので、分からない時にもすぐに聞いたり相談したりできるので、そういう環境があるのはすごく良かったと思います。
柳谷:やっぱり友だちとスムーズに話せるところ。たまに喧嘩をしたり、怒ったり泣いたりすることもありましたが、それも良い経験だったと思います。
高橋:他の学校と比べて聾の文化を深く知ることができたことです。口話とか、聞いたことのない単語もたくさん学べるのが技大の良い面だと思います。
学長:なるほど。情報保障が整備されていること、あるいは友だちや先生とのコミュニケーション、それから学生の数が少なくて先生が多い、いわゆる少人数教育ができている、この3つが大きなポイントかな。
技大生の就活事情とサポート体制
学長:3年生のみんなは就職活動は始めてる?
高原:始めています。先生の紹介を受けて去年の11月中旬から1ヶ月間くらいインターンシップを受けました。その時インターンシップを受けた会社に入りたいと思ったので、今後、面談を進めていくところです。
高橋:去年の夏休みにインターンシップを1社受けました。それと11月くらいに別の会社のインターンシップを受けて、自分に合う仕事は何なのかということを考えた上で、3月にそれぞれの会社の合同説明会に参加をしつつエントリーもやっています。
学長:4年生から何かアドバイスはありますか?
伊藤:私は大阪にある会社に就職が決まっています。インターンシップは、3年の夏休みに先生から勧められて1週間受けました。大学からの一番大きなサポートだったと思うのは模擬面接。事前にちゃんと理解した上で面接に臨めたので、合格できて仕事が決まったという状況です。
渡邊:3年生の時に就活を始めました。最初は何をしたら良いか分からないし、私は視覚と聴覚に障害があるので、雇ってもらえる会社があるのかすごく心配でしたが、技大には就活のための講義があって、私もその中の模擬面接を受けたことで落ち着いて活動を進められました。その結果、面接会に参加した地元の企業に採用してもらうことになりました。いろいろと就活のサポートを受けられたので、本当に良かったと思っています。
学長:模擬面接というのは、個別の面接の練習のことで、今は2人の支援員に担当してもらっています。みなさんもぜひ、そういう制度をどんどん活用してください。それと合わせて、学科の先生からも支援を受けることができます。でも、大切なのは、早めに動き始めることですね。
高原:インターンシップに参加する際、先生から参加する会社に対して、私の聴覚障害についての理解を深めてもらうために、筆談や口話をしてもらえるよう、事前に説明をしていただきました。おかげで、筆談などの情報保障の準備が整えられていて、スムーズに進めることができました。
学長:先生方が前もって会社に説明してくれる。それは技大の特徴です。一方で、就職した後は、自分から考えてお願いすることや、説明しなきゃいけないことも出てくると思います。自分が聞こえにくいことや、コミュニケーション方法などについて、周囲や相手に説明するような機会はあるかい?
高橋:インターンシップの初日に、会社の担当のグループの人たちをグループ長に集めていただき、自分の障害の説明をする機会がありました。その時、私が筆談と口話を使って会話をすることを説明していただきました。
学長:会社の方で、そういう説明をする機会を作ってくれたんだね。
高橋:大学からも説明があったようなのですが、それだけでは足りないと思い、グループ長にお話をして集まっていただきました。
学長:自分から「こうして欲しい」と言うことが大切だね。ポイントは、誰にお願いや相談をするのかということ。キーパーソンは誰なのかを見つけることなんだよね。
技大を多くの人に知ってもらうために
学長:技大の名前を広く知ってもらうために、どうやって伝えたら良いのかな。ヒントがあれば教えてください。伊藤:先生方が各地の聾学校へ学校の説明に行っているという話は聞いています。それでも知られていないのは、健常者の学校にいる聞こえない人に紹介して良さを聞いてもらうとか、聞こえない人に情報を伝える方法に課題があるのかなと思います。
永田:最近はデフスポーツとかが広まっているし、競技者は技大でも多いと思うので、デフスポーツでの活躍を技大の名前と一緒に広めていったら良いと思います。
高橋:聾学校の先生は技大についてあまり知らないから、生徒に伝えられない。存在は伝えていても詳しいことは多分伝わっていないので、聾学校の先生に技大のことをきちんと説明しても良いと思います。後は、SNSが流行っているので、技大が目立つような情報は、大学選びを迷っている人が見た時にきっかけになるかなって。デフスポーツでの活躍を載せるのとかも良いと思います。
新学長に聞く「これから」のこと
学長:今さらだけど、今日、私とみなさんで対談している理由は知ってる?
柳谷:新学長になられたからです。
学長:そう。だからこの機会に、新学長に言っておきたいことがあれば。
柳谷:学長になった後も、これまで持っていた講義は続けられるんですか? 先生が担当していた「聴覚障害と就労」を取ろうと思っているんですが、その講義はどうなるのか、気になります。
学長:私も気になってる(笑)。その講義は新年度も開講予定ですが、私の担当ではなくなると思います。でも、誰が担当するにしても、その講義は選択しておいた方がいいと思うよ。
伊藤:新学長としての目標はありますか?
学長:技大は誰のための大学なのか、社会の中でどういう役割を担っていくべきなのかを考え、見直して、学生を育てなければならないというのは一番大切だよね。育てるというのは単に教えるということではなくて、考えるきっかけを与えること。それを先生方には強く意識してほしいなと思います。そういう環境を作っていくことが私のこの後の役割かな。