Q.技大に入学したきっかけは?
高校生の時、数学に夢中になって、大学へ進学して数学を学ぼうと思っていました。しかし、実際に迫った将来を考えたとき、小学校から患っている目の病気(網膜色素変性症)がだんだんと悪くなっていることも感じていたので、とても迷いました。挫折感すらありました。そんなとき、インターネットで「視覚障害、大学」と検索してヒットしたのが技大でした。
今になって振り返れば、理学療法士がどんな仕事わからないまま入学したのですが、当時は「資格を身につけることができれば、自立して生きていくことができるのでは」と強く思いました。さらに、障害に対するサポートが充実していると感じたこと、そしてなにより「大学で学ぶことができる」ということが入学の大きな決め手となりました。
Q.学生生活はどうでしたか?
とても楽しかったです。技大で過ごせて良かったことは、たくさんの友達に出会えたことですね。スーパーでバイトをしている人もいて、いろんな話を聞けました。普段は近くにあるショッピングモールへ行ったり、家で飲み会をひらいたりして遊んでいましたが、みんなで企画して草津の研修所でスキー合宿をしたこともあります。
地元の関西へ帰省したときは、高校時代の友達と遊びました。就職活動に追われている彼らの話を聞いた時は、自分もそうなっていたかもと思い、ぞっとしたのを覚えています。遊びのことばかり話してしまいましたが、勉強も少しはやりましたよ(笑)。再試験を受けたりもしましたけど……。
当時は、きっと仕事のイメージが沸かなくてそれほどモチベーションが高くなかったのだと思います。最近は「もっと勉強しておけば良かった」と後悔の日々です。いずれにせよ大学生活を楽しく、そして切磋琢磨した友達とは今もよく連絡を取り合って、ときどき遊んでいます。
Q.ふだんの仕事や生活はどうですか?
東西医学統合医療センターで、理学療法士として頑張っています。学生の時に教えていただいた先生達とともに仕事をするわけですから、毎日が緊張の連続です。しかし、勉強会を開催して丁寧に教えてくれるので、とても助かっています。視力は大丈夫ですが、視野が狭いことと色盲や夜盲があるのでときどき大変なことはあります。
ですが、リハビリテーション室が広くて拡大読書器などの障害補償機器が充実しているので、とても働きやすいと感じています。逆に他の施設で思うように働くことができるのかと心配になります。そんな不安もあるので、定期的に筑波大学附属病院のリハビリテーション部で勉強をさせてもらっています。
生活についてはそうですね……夕食は鍼灸の研修生と一緒に外食したり、自分で作ったりしています。土日の明るいうちに、20分ぐらい歩いて行けるスーパーで買い物をします。休日は、残念ながら今は彼女がいないので(笑)、大学時代の友達や後輩と遊んだりしています。意外と思われるかもしれませんが、テレビゲームをします。もちろん見えていない部分はありますが、ハンデをつけたりして対戦しています。
Q.今後の目標を聞かせてください
結果が出せる理学療法士になりたいと思います。まだまだ覚えることが多くて、自分の力不足を痛感しますが、結果が出て、感謝されたときはとてもうれしいです!もっともっと経験を積んで、多くの人の症状を和らげることができるようになりたいと思っています。視覚の障がいは進行性なので、もちろん、将来に対する不安はあります。しかし、こればかりはそのときが来てみなければわかりません。
東西医学統合医療センターで働いて、患者さんと話しをたり、鍼灸師の方々と接したりすることで自分の将来に対しても柔軟に考えるようになりました。たとえば、役所に事務職で就職した先輩もいたなぁ、鍼灸師もいいなぁ、と不安と向き合いながらも前向きに考えるようになりました。 入学から理学療法士として活躍する現在までに、技大でたくさんの人々と出会い、多くのことを学び、そして、成長できたと思います。技大は、一歩を踏み出した人を応援してくれる、そんな場所だと思います。